カサビアンによるオルタナティヴ・ロックの体現
オルタナティヴ・ロックという言葉が開発されたのは1980年代のことである。の音楽産業はディスコ・ミュージックやヘヴィ・メタルといった音楽が、ビルボード・チャートを席巻していた。 その状況に満足できない若者たちが、地元の大学のラジオで主流ではない音楽をやるバンドを取り上げ、ビルボードとは異なる(オルタナティヴな)「カレッジチャート」を作り上げていた。...
View ArticleHYUKOHが生み出したアジアの新しいロック
新しいポップ・ミュージックは海外から入ってきたものが、その国の風土や文化と混ざり合った時に誕生する。 ビートルズの音楽も自分たちのバックボーンと、アメリカのロックンロールが混じり合って生まれた。 コンプトンの若者がヒップホップの歌詞に自分たちの生活を乗せたことでギャングスタ・ラップが生まれた。 そして今、韓国出身のバンドであるHYUKOH(ヒョゴ)が、新しいポップスを生み出そうとしている。...
View Article思い出のタヒチ80「ハートビート」
ソング・ライティングの中心的存在で、ボーカルやギターを担当するグザヴィエ・ボワイエを中心に結成されたタヒチ80は、98年に本国フランスでデビュー。翌年発売の小山田圭吾選曲による『ラマ・ランチ・コンピレーション』で日本に紹介され、2000年4月にはビクターからアルバム『パズル』をリリース、最初のシングル「ハートビート」がヒットして注目を集めた。...
View Article「郷土料理のような音楽」を目指す、never young beach
過去のロックやポップスに新しい要素を取り込み、自分たちのオリジナティに昇華させることによって新たな音楽は生まれてきた。イギリスのオアシスやアークティック・モンキーズ、アメリカのニルヴァーナやストロークスがその筆頭であろう。彼らの音楽は新しさを感じさせながらどこかその国らしい、懐かしい響きを持ったものである。 日本のnever young...
View Article受け継がれるメロディとアレンジ 〜小沢健二とSEKAI NO OWARI〜
2017年、本格的に音楽活動を再開した小沢健二。彼は2月にシングル「流動体について」をリリースし、音楽番組にも精力的に出演する。さらにはFUJI ROCK FESTIVAL 2017にも初出演を果たし、今までの沈黙を取り返すかのように新たな音楽を鳴らし始めた。 次に小沢健二は自分自身の音楽をアップデートする試みに打って出る。新曲「フクロウの声が聞こえる」において、若手バンドSEKAI NO...
View Article【スペシャル・インタビュー】チーフタンズのパディ・モローニが奏で続ける土地に根付いた音楽
アメリカにはカントリーやブルース、フランスならばシャンソン、日本であれば歌謡曲や演歌、というように世界の国々には、固有の風土や文化に根付いた音楽が存在する。 その土地で暮らす人々の習慣や生活、あるいは人となりが色濃く滲み出たそれらは、国が違えば共有されにくいこともしばしばある。...
View Article音楽で加速する物語『ベイビー・ドライバー』
2017年の映画作品において『LA LA LAND』や『SING』など、音楽が物語の中心となった作品が世界中で大ヒットを記録した。 これらの映画において音楽はただの添え物でなく、ストーリーの重要な部分を担っているのだ。 歌によって空気感を表現し、音楽がキーになって物語が進んでいく。大音量で音楽が味わえる映画館という空間で見るからこそ、生まれる独特の高揚感は何者にも代え難い。...
View Article「それでも歩いてる」で高まる、欅坂46への期待
吉田拓郎、ガロといったフォークシンガーや、山口百恵、天地真理などのアイドルが活躍した1970年代は、今なお愛される多くの名曲、ヒット曲が生まれた歌謡曲の黄金時代。 そんな時代の空気を、意外にも、いま大人気のアイドル・グループ、欅坂46が運んでくる。...
View Article『シン・ゴジラ』で生まれ変わったゴジラの音
庵野秀明によって12年ぶりにリニューアルされた映画『シン・ゴジラ』は、1950年代に初めてゴジラを観た人々と同じぐらいの衝撃を僕たちにも与えた。 個人的には小学校1年生の時に初代ゴジラシリーズが終わってから12年、昔より高い熱量でゴジラを語る日が来るとは思わなかった。...
View ArticlePUNPEEが創り上げた一本の映画のようなCDアルバム 〜『MODERN TIMES』〜
「アルバムって覚えてる?」 これは生前のプリンスが、2015年のグラミー最優秀アルバム賞のプレゼンターとして放った言葉だ。 実際2015年頃を境にして、ストリーミングや配信、YouTubeなどで音楽を聴く人の比重が大きくが増えた。音楽をCDという”モノ”として聴くことや、アルバム単位で聴くという文化が廃れつつある。...
View ArticleKing Gnuの言葉とメロディから生まれる、日本人に届くミクスチャー
1990年代から2000年代にかけて、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンをはじめとした、ロックに新しい要素を掛け合わせたバンドが世界中を席巻した。彼らは60年代や70年代のロックに、ヒップホップやレゲエなど別ジャンルのエッセンスを次々と取り込み、ロックをアップデートさせていった。...
View Article紅白歌合戦に登場したSuperflyの転機となった「愛をこめて花束を」
デビュー10周年を迎えていたSuperflyは、2016年夏より喉の不調により活動を休止していた。そんな彼女が11月に行った復帰ライヴを経て、初のテレビ復帰に選んだのが大晦日の大舞台、2017年のNHK紅白歌合戦であった。 彼女がそこで歌ったのは代表曲の「愛をこめて花束を」。 LEDの大きなスクリーンに映し出された花々をバックに、伸びやかで生命力のある圧倒的な歌声を響かせた。...
View Articleテクノミュージックとラップによって生まれ変わった「デビルマン」
2018年1月5日、漫画「デビルマン」が映像ストリーミングサイト「Netflix」にて全10話のアニメ「DEVIL MAN crybaby」として復活した。 永井豪の手によって1972年に生まれたこの作品は、力強いタッチと少年向け漫画としては異例とも言える過激な描写、そして黙示録のような壮大なストーリーで多くの人々に衝撃を与えた。...
View Article街に根ざした音 〜ジャスティン・ティンバーレイクとテネシー〜
2017年の全米アメリカンフットボールの優勝決定戦スーパーボウル。 そのハーフタイムショーは、マイケル・ジャクソンやポールマッカートニー、U2をはじめとした世界の音楽シーンを代表するミュージシャンによって彩られてきた。 2018年、ミネソタ州USバンクスタジアムで開催されたスーパーボウルのハーフタイムショーを任されたのは、ジャスティン・ティンバーレイクだ。...
View Article人や芸術と繋がる、米津玄師の声
音楽シーンを代表するシンガーたちの声は、記名性が高い。 例えば「井上陽水の声」と言えば誰もが、あの粘り気の強いハイトーンボイスを思い出すことができるだろう。 魅力的なシンガーの声は、まさに唯一無二の輝きを持つ。 2010年代に登場したシンガー、米津玄師もそのような声の持ち主だ。 彼のキャリアの始まりは、コンピューターソフト「VOCALOID」を用いた「声を隠した」活動からだった。...
View Article少年少女を熱狂させ未来を創った、ビートルズ来日の立役者たちの物語 〜「ウェルカム!ビートルズ」〜
今や戦後日本の歴史の一部として語られる1966年のビートルズ来日。 ビートルズが日本に来た5日間は、日本の音楽やショービジネスのあり方を変えただけでなく、公演やテレビを通してビートルズを目の当たりにした人々の人生をも大きく変えた。 そんな公演を実現させるために奔走したのは、音楽に魅せられた「ミュージックマン」たち、そして日本の発展を強く願っていた経済人たちだった。...
View Article国やジャンルの壁を超えたSuperorganismのポップミュージック
2010年代、Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスは、音楽の発信の仕方を大きく変えた。 それまで各国やジャンルごとに区別されていた音楽が、同じ土俵の上で聴かれるようになったからだ。 今や欧米の若者が日本の音楽を聴くことも、ロックやヒップホップ、レゲエが同じプレイリスト上で聴かれることも当たり前になっている。...
View Article「21世紀のボブ・ディラン」と称賛され、若い世代の希望になったケンドリック・ラマーの衝撃
2017年、ヒップホップとR&Bがビルボードの年間チャートで、初めてロックの売り上げを抜いたことが話題となった。 その売り上げを支えているのは、主に若い世代の人たちだ。 かつてエルヴィス・プレスリーやビートルズのようなロック・スターが、世界中のティーン・エイジャーを熱狂させたのと同じように、ヒップホップ・スターたちの一挙手一投足に熱烈な眼差しが向けられている。...
View Article逆風の中でも正直な言葉を紡ぎ続けるケンドリック・ラマー
かつてベトナム戦争の反戦運動からフラワームーブメントが生まれたように、音楽と社会運動が同調するとき、大きなムーブメントが生まれる。 ケンドリック・ラマーの音楽も、アメリカの人種差別撤廃運動において、人々の希望となった。 2014年、アメリカで無抵抗な黒人が白人の警官に不当な抑圧や逮捕を受けるという事件が相次いで起こっていた。 そしてそのような抑圧に対する抗議運動「Black Lives...
View Article吉田拓郎から衝撃を受けたことから始まった、あいみょんの歌
フォークソングや歌謡曲の歌詞は、聴く者に風景や物語を想起させる。それはまるで歌詞とメロディによって別世界へと誘われるようであり、一本の映画を見た後のような心地よさを聴く者に与える。 そんな60年代、70年代の音楽に通じる歌詞世界を作り出しているのが女性シンガーソングライター、あいみょんだ。 彼女のルーツは、幼少期に出会ったシンガーたちにある。...
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